*花は彼に恋をする*【完】

***

黒瀬課長に引っ張られたまま

『えみか』さんの案内で

エレベーターに乗せられると

ある応接室に通された。

『誤解』って何?

何を誤解してるの?

男性の力に叶わず

抵抗する気力もなくなり

ずっと無言で考え込む私に

「…とにかく座れよ。」

と、彼は上等なソファーに

私を座らせると

自分も隣に座った。

少しして、トレーを持って

こちらにやって来たえみかさんは

「…さあどうぞ!!
このクッキーは私が焼いたのよ!!
コーヒーに良く合うし
興奮してる時や疲れた時には
甘い物摂らなきゃね。
さあ食べてみて、玲花ちゃん!」

と、私の名前をなぜか知っている

えみかさんはニッコリと微笑みながら

良い香りがするコーヒーと

美味しそうなクッキーを

目の前のテーブルに置くと

「…玲花ちゃんどうぞ!!」

と、再度私に進めてくれた。

「…ありがとう…ございます。」

私の斜め前で跪くように座る

えみかさんにチラリと視線を向けた。

















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