主人公と委員長。正反対な二人はひょんなことから関わるように。穏やかに時間は流れ、少しずつ距離が近づいて、だけどその先に必ず訪れるのは…別れ。
二人の時間は着々と終わりへと進み、主人公の結末を知っているからこそ読んでいる最中は胸を締めつけられます。
この作品は特別愛を語ったわけでもなければ、特別二人の絆が深まったわけでもありません。ただ二人はどうってことない時間を過ごしただけ。だけど、そんな何気ない時間が彼らにとっては愛であり絆だったのかもしれません。話したかったこと、聞いてほしかったこと、言えなかったこと。そんなものが彼らにはたくさんあって。それらはきっと、あの場所で生き続ける彼に彼女が語り続け、そんな彼女の話に彼は耳を傾けて楽しそうに笑っているのだと思います。それはまるであの頃の二人みたいで、一度終わった物語が姿形を変えて再び始まってゆくかのようでした。