卯月心さんのレビュー一覧

★★★★★
2010/10/31 15:54
お見事!

丁寧な下調べに基づいた設定に、作者のこの作品への愛情が滲み出ています。 魅力的な多くの登場人物とそれらにまつわる逸話、そして大筋の掛け合い。 丁寧に仕掛けられた伏線をこれまた丁寧に回収していく様は、初心への回帰を私にも促してくれる。 長大でありながら、爽やかな読後感を読む側の心情の起伏と共に是非とも味わって欲しい。 臆することなく、まずは一頁目を開くことをお薦めいたします。

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★★★★★
2010/06/01 18:45
それはとても目映い

ヒロインの指が躍動し、紡ぎ出されたコードの上に彼女の声が輝く。 それは照明より眩しく、その目映さを以て聴く者の心の深淵を揺さぶるのだ。 これは作中のクライマックスを読んだ後の感想なのだが、それに至るヒロインと彼女に魅せられた者たちのドラマが過不足なく描かれている。 かつて自分も感じていたであろう青春時代を思い出して、苦くもあり懐かしくも感じた。 ……そして。 何かに没頭することの素晴らしさと、それに年齢が関係しないことを改めて思わせてくれた。 夢を諦めかけている人、既に諦めてしまった人、双方とも読んで欲しい。 人間の可能性に終わりは無いのだ、そう思わせてくれるであろう。 最後に。 是非とも映像で見てみたい。

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★★★★★
2010/04/19 16:40
やや硬質ではあるが……

その表現する文体が硬質であろうが、下地となる物語の筋と設定、細かなディテールがはきとして明確である場合は、それが硬質な表現方法であろうとも読み進める手を止めることは出来ない。 筆者の様々な経験・知識・見識、その上に成り立つストーリーが読み進める上で与えられし1ピースに色彩を投じていく。 当サイトに筆者が参加し始めた頃から追い掛けている人間としては、その進化というべき内容の整理の行き届いた様は、読んでいて心地よささえ感じてしまう。 推敲を経た更なる物語の昇華と、次作への期待が待ち遠しい、そんな気持ちにさせる重厚な作品。 お子様要素皆無という意味でR指定な作品である。 本格的な人間ドラマを刮目して読むべし!

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★★★★★
2010/01/03 21:59
揺れるんですよ

作中のヒロインと同じ年の頃、手に入れたいものと手放したくはないものとの比較衡量を行う度に、その何れをも失いたくないともがいてしまう。 そのどちらかを諦めなければ手に入らない、或いは手放さなくてはならないというのに。  タイトルの意味は辞書では導くことの無い意味を孕んで問い掛けてくる。  『BITCH』……、少し大人向けの作品ですが、是非とも若い人に読んでいただきたい。 お薦めします。

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★★★★★
2009/07/27 04:11
ネタバレ
純朴にして…

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★★★★★
2009/07/16 04:46
満足です。

ホラーが苦手だと公言される作者様が書かれた作品。 それでも構成、伏線、過度になり過ぎない説明、読ませるには十分なリズム感。 満足です。 実際に当事者にはなりたくありませんが。 ストーリーに触れるとネタバレになるので書きませんが、一気に読める作品であると言っておきましょう。 是非とも、ね!

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★★★★★
2009/06/10 12:07
非常に重いテーマである。

独白に近いスタイルで進行するストーリー。 読み進めていく上で、何を以て『狂気』とするのか、何を以て『正常』というのか、それを定義するものが果たして存在するのか。 人間という知能を持った生物の根幹に潜むものの不確かさが、却って明確な映像を呼ぶのではないか。 様々なクエスチョンには定められた答えは存在しない、否、存在しえないのだ。 その様々な答えの中の一つを導き出すのは、貴方自身、そう貴方自身だ。

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★★★★★
2009/05/28 22:48
ネタバレ
圧巻でした。

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★★★★★
2009/05/08 21:58
まだまだ知らないことだらけだった。

あの頃の僕達は知らないことだらけで、独りよがりで、けれど真っ直ぐに信じていたものを見詰める事が出来たんだ。 作中の主人公のその時にしか持ち得ない愚直さや歯痒さ、それはかつて自分も持ち得たものなのかもしれない。 青い果実の成長過程を夢のあるファンタジーで投影してくれる作品です。 もの悲しいラストはちょっとってアナタ! 作者さんの優しさがラストに溢れていますよ。 ちょっぴり大人になりかけのラブファンタジー。 どうぞ!素敵に召しませ。

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★★★★★
2009/05/03 12:40
もどかしさが心地好い

主人公の心情の移り変わりがとてももどかしい。 けれど、そのもどかしさに心地好いものを感じてしまうのです。 人は時を経て打算というものを覚えていきますが、ヒロインは寧ろ打算的だったというよりは、恋に対して無知で幼すぎた。 だからこそ、本当に愛しい人だと気付いた時には戸惑いを隠せない。 そのもどかしさが心地好いのです。 その、年頃の揺れ動く気持ちを細やかなディテールとリズム感のあるセリフ回しが彩っていく。 同世代の女の子にも、勿論男の子にも、そしてその年代を通り過ぎた年代の人達にも是非とも読んでもらいたい。

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★★★★★
2009/04/29 07:52
優しくて痛くて切ないのです

ページ数の割りに一気に読めてしまうので、内容には触れません。 しかし、作中に出てくる擬音、素直な場景描写、共に優しくて痛くて切ないのです。 疲れた心に優しく音を立てて、静かに涙を誘います。 猥雑な世界を生きる皆様、心の清涼剤にいかがです? 喉を痺れさす炭酸が何とも心地好い読後感を与えてくれますよ。

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★★★★★
2009/04/19 03:37
しっかりと作り込まれた

ここまで作り込まれた作品に野いちごで出逢えた事に感謝。 引き込まれ、明確な映像と時間の流れを頭の中に投影する事が出来ます。 しっかりとした資料集めと展開。 実際に映像化されても遜色無いと思います。 やや結末に物足りなさを感じるところも否めませんが、更に推敲をする事により質は高まるのだろうと可能性を感じられました。 まあ、物足りなさといっても総合的に考えてみると、寧ろ程好い流れじゃないかと私は感じました。 とにもかくにも、この国が抱える闇の奥深さを実に分かりやすく、そして劇画的に描いてあります。 お子様な作品に飽き飽きなそこのアナタ! 読んでみませんか? 二度読みがお薦めの噛み応えある作品です!

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★★★★★
2009/03/07 09:54
光りの中

このストーリーの世界を覗いた事のある人間は多くはないでしょう。 しかし、読み進む中で、必ず鮮明にそのときどきの場面を貴方の頭の中のスクリーンに映し出してくれる事でしょう。 一人の踊り子が光りを纏い、同化し、昇華する。 そう、極彩色の羽根を背に宿して。 そうは多くないページに、濃密なストーリーがある。 是非とも読んで下さい! お薦めします。

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★★★★★
2009/01/17 05:40
中毒注意

壊し壊される様を感じているうちに鮮やかなデカダンスを感じてしまうのです。 緻密なシナリオは、一見解りづらいかも知れませんがよく読み、噛み砕いているうちにハマってしまうのです。 私はこの作品を読んだ瞬間に後悔しました。 何故にもっと早く読まなかったのかを。 快楽、欲望、羨望、嫉妬、正義、人間の持ち得る様々な表情が、この作品の中で溢れます。 まだまだ余韻が消えず、中毒になっています。 皆さん、是非とも読んで下さい!

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★★★★★
2008/12/30 07:02
ネタバレ
理不尽と矛盾、しかしそれは事実だ

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★★★★★
2008/12/25 14:58
蠢声操躯法

武器として、自分のポテンシャルを上げる術として声を自在に操る登場人物達。 物語の根本として描かれる“蠢声操躯法” それにまつわる思惑、欺瞞、人間模様。 こんな言葉で語ってみると、暗い話なのかと勘違いを呼びそうですが、散りばめられたユーモアと肩に力を入れない語り口に、どんどんストーリーに入り込めます。 ラストもしっかりと頭の中で映像が浮かぶカラフルな作品ですよ。 シリアスとユーモアのバランスが絶妙な作品を、どうぞご堪能あれ!

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★★★★★
2008/09/11 03:04
温かくて懐かしい。

幼き日々の映像がコマ送りで蘇る。 何だか懐かしい気持ちが、疲れた気持ちの欠けた部分を修復してくれているみたいな気分になりました。 疲れた現代に優しい文章は、きっと読み手を癒してくれるのではないでしょうか? 童心にかえって、いや、かえれるのでは?

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★★★★★
2008/08/26 12:34
夜を彩るのは?

先天的に色彩を持たない女性と、彼女に魅せられた優しき男性の温かなラブストーリー。 登場人物の一人一人が愛らしく愛しい気持ちになり、いつまでも読んでいたい気持ちになりました。 クーラーで冷えてしまった、そこの貴方! 読みなさい!

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★★★★★
2008/08/22 01:59
青春群像劇

脳裏に浮かぶ試合風景。 コートの外の人の絆、闇、その事象を作り出した過去の経緯。 全てを覆う様々な伏線が、筆者の止まらぬ進化を物語っている。 胸を焦がすような若かりし日々を思い出させてくれました。 長編を思わせない疾走感と読後の爽快感が清々しく胸を駆け抜けていき、読んで良かったと心の奥底から思わせてくれる作品でした。 既存のケータイ小説の甘ったるいスタイルに飽きた方は、是非とも読んで下さい。 絶対に損はしない筈! 寧ろこの作品に出逢えなかった人達に損してるぞと言いたくなります! 読んで下さい…絶対に!

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★★★★★
2008/07/25 03:38
重厚にして肉厚

最初の一頁目で文字数の多さに、読むのを止めてしまった諸君、ナンセンスです。 読み応えのあるこの作品を是非とも読んでください。 実を付ける時期を過去のものにした老いた人間の生き様は、使い込まれて趣を放つバーの一枚板のカウンターみたく鈍く光る。 どうぞこの世界にどっぷり浸かって下さい! お薦めです!

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