桜まち 
ランチ




  ―――― ランチ ――――




休日の午前中をのんびり寝て過ごそうと、布団の中にいつまでも潜りこんでいると、何やら外が騒がしい。
廊下をバタバタと何人もの人が行きかっている様子だ。

「五月蝿くて、寝てらんない」

こう見えても、意外と神経質なんだよ、私。

ベッドの上で起き上がり大きく欠伸をしたあと、玄関先まで行って、ほそーくドアを開けて外を窺ってみる。

どうやら、お隣さんが退去するために引っ越し屋さんが来ているようだ。

という事は、近々新しい人が入居してくるってことよね。
変な人じゃないといいけど。

最近は物騒だから、どんな人が隣になるのか、ちょっと心配だったりする。

ドタバタとしている引越し作業の音に諦めて、私は洗面所へ向かった。
その後、コーヒーを淹れて飲んでいると櫂君からLINEが届いた。

【 近所に物件探しに来てるんですけど、よかったら今日ランチしません? 】

ほほお。
結局この辺の立地条件は、手放せなかったってことか。

ていうか。
モテ男が休日にまで私と一緒でいいのかい?

寂しがりやの後輩からのLINEに笑みを零し、誘われたランチまでの時間を私はのんびりと過ごした。



< 20 / 199 >

この作品をシェア

pagetop