君の全てが欲しいんだ
side by MIRAI
梅雨の晴れ間と、いうのかな。


昨日まで続いた雨も、明け方には止んだらしい。


久し振りの、いい天気。


アスファルトに反射した、木漏れ日が眩しくて。


イヤホンから流れてくる、UKロックに耳を傾けながら、僕は一人、ほくそ笑む。


今日の授業は、午前中だけ。


さっさと家に帰ろうと、キャンパスを歩いている時だった。



――――――!!



突然、腕を捉まれて、振り返る。



「ああ…。」



イヤホンを外すと、待ち構えていたかのように、名前を呼ばれた。



「未来くんっ、ちょっといい?」



彼女の名前は、中西夕夏。


中西さんから声をかけられるなんて、最近では無かったわけで。


思わず無遠慮に、視線をぶつけてしまった。



「ど、どしたの?」


「未来くん、有紗、知らない?」


「はっ、――――?」



有紗っていうのは、僕の…いわゆる元カノ。


別れてから、もう3か月は経つ。
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