男のひとり言ー「むとうさん」番外編
男のひとり言
高校の総合学習の時間、将来なりたい仕事について調べることがあった。

夏休み明けからは授業のクラス分けが文理、レベル別であって。担任との面談では進路について話さなければいけなかった。

一部のものを除いて、部活動はそこまで盛んではなく、帰宅部で塾に通ったり、俺みたいにこっそりバイトしているやつが多かった。

クラスメイトの同じようなやつとマックでおやつを食うついでに放課後進路用紙をなんとなく埋めて提出した。一緒にいたやつが紙にコーラをこぼして書き直していたのを覚えている。

「武藤くんはどの教科も同じような感じだね。文系の普通コースでいいの?」

「はい。とりあえず法学部で。」

「やりたいこととか、将来の仕事とか考えている?」

「とりあえず進学で。」

「そう。むとうくん、世界史の授業中いつも寝てるって、高橋先生が言ってたわよ。まぁ、テストでこれだけ取れているんだからもっとがんばりなさいね。」

高橋のやつちくりやがって。

木曜日は固定でバイトが入ってるから金曜の1限は絶対寝るんだ。

武藤の通う高校はマンモス進学校だった。武藤は元々好んで群れるタイプではなかったため、人数が多くてある程度放任されるこの学校はそこそこ合っていた。

しかし、地元での付き合いにおいて武藤は束縛が多かった。小学校の時から地元の中学の先輩に目をつけられたり、付き合う同級生も似たようなやつだったため、知らぬうちに不良仲間に囲われていた。

今のパチンコ屋でのアルバイトも先輩のコネで入った。高校生は22時以降は、とかいう条例か何かも無視で、ラストまで高時給で稼げるのは魅力だった。
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