アロマティック
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出会いはディープインパクト

「ええっ求職中!?」

 テーブルを挟んで反対側に座る、幼馴染みの花咲理花が、驚きの声をあげた。
 仕切りで分けられた個室居酒屋の、淡い照明の下に様々な料理とお酒が並んでいる。いわゆる女子会というやつである。

「お給料もよくて、いい会社に入ったっていってたのが……ん~と、3ヶ月くらい前だったかなぁ?」

 いつも通り少しのんびりとした口調で、指折り数える理花に、カシスソーダを飲みながら藤本みのりは、頷く。
 一番長く続いた大学の事務を辞めたあとは、どの職に就いてもあることが理由で、長く続くことはなかった。
 このまま転職退職を繰り返していては、そのうち履歴書の職歴が埋まってしまうかもしれない。
 短期間で職を転々としていれば、就職するために必ず通らなければならない面接での印象も悪くなる。
 危機感は感じているけど。

「お給料いいとこ、もったいな~い!」

「無理だったの」

 すっかり慣れた、みのりのあきらめ口調に、理花は胸を痛める。

「……男の人?」

 気づかうような問いかけに、みのりはため息をつく。

「男がウヨウヨしてる職場は苦手」

「ウヨウヨって……」

 まるでうっとうしい虫かなにかのような言い方に、理花は苦笑い。

「だからわたし、もう普通の会社には――」

 みのりがいいかけた言葉が、

「いえーい! カンぱいぱーい!」

「………」

 突如、後ろのテーブルの下品な男の大声で、かき消された。
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