大人の恋の終わらせ方
偽りの花嫁
「ここに、鳴海 静時はいる?!」

勢い良く開いた扉が開くやいなや、ウエディングドレス姿の美女が叫んだ。

「…いらっしゃいませ、ここにいますけど…」

カウンターの中でコーヒーをいれていた千歳が、ア然としながら、目の前に立っていた鳴海を指さすと答えた。

「あ…やこさん?が、どうしてここに…」

ポカーンとした表情を浮かべて、鳴海はその美女を見た。

「そんな事はどうだっていいのよ!それより…」

と言ってウエディングドレス姿の美女は、スカートのすそをつかんで店内に入って来ると、鳴海のむなぐらをつかんだ。

「どうしてくれるの?!あんたのせいで行き遅れたわよ!」

「え?」

「責任を取れと言っているのよ、責任を!」

「…え?どうやってですか?」

「私と結婚するに決まっているでしょう?!もう式場は押さえてあるわ…もし結婚する気があるのなら、今から一緒に来なさいよ…」

「え、でも仕事中で…」

鳴海はむなぐらをつかまれながら、背後のカウンター内にいる千歳に助けを求めた。

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