極上ドクターの甘い求愛
極上男子に気に入られたら。



「――ですので、毎日必ずお飲みになってくださいね。」


春。桜の花弁が舞い始める新年度。

私は処方箋と薬の説明書きを入院患者さんに手渡し、処方した薬の説明を終えた。


『飲む薬が多くて覚えられるかしら?』

「大丈夫ですよ、分からない時は看護師さんにこの説明書きを渡してくださいね。」

『はい、分かりましたー。』

「お大事に。失礼します。」


ニコッと人当たりの良い笑顔を浮かべたベッドに腰掛けた入院患者さんに頭を下げて、病室から出た。

ふう、と落ち着く暇もなく、一仕事を終えた私は自分の仕事場である薬剤部へと脚を進める。


6年制の薬学部を卒業して国家試験に合格し、晴れて総合病院の薬剤部に入社して1年がたった。

薬剤師になって2年目だけれど、まだまだ膨大な仕事をこなすのに精一杯で未熟者だ。


病院独特のアルコールの匂いにも免疫がつき、真っ白な廊下をスタスタと歩いている時だった。


『岩崎先生~っ!今からご飯ですかぁ~っ?』


甲高くて甘ったるい女性の声が正面から聞こえた。



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