戻ってきたんだ…(短編)
君に呼ばれた気がしたんだ

急ぎ足で道を行き交う人々。

それをぼんやりと見つめながら、僕は立ち尽くしていた。

何年も見てきた光景。

もう見ることのないと……。

いや。

見ることができないと思っていた。

なのになぜ。

僕はここにいるのだろう。

なぜ。

来てしまったのだろう。




『翔(しょう)……』




僕を呼ぶ声が、ひどく懐かしくて。

あたたかくて。

つい……。

そう。

君に呼ばれた気がしたんだ。



< 1 / 25 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop