偽りの結束
プロローグ
 あれから二年が経った。

 私こと、松島ひとみ、夫の松島悟、間島谷春ことマジタニ、双子の井上ケンと井上マサ、細井可奈子の六人は、二年前まで強請られていた。

 そして強請りをしていた同級生二人を殺し、その罪を前田五郎ことタイ米に被せ、自殺に見せかけ殺す計画を立てていたが、実際は殺すはずだった同級生二人を、私達が殺す前にタイ米が殺してしまった。それを知った私達は、多少計画とは違ったが、最終的にはタイ米を自殺に見せかけ殺した。しかしタイ米の遺体は現在も発見されていない。

 私や、私以外の同級生は誰しも、このタイ米が嫌いだった。

 何故なら、勉強やスポーツが全く出来ないだけではなく、外見も中身も最悪だったのだ。自信だけは人一倍あり、特徴のある細長い顔と、シャクレたアゴをしており、得意げにシャクレたアゴを撫でる姿を見る度に吐き気がしたものだ。

 そして、タイ米がいなくなり、悲しむ人間は一人もいなかった。

 タイ米の家族も例外ではなく、タイ米がいなくなった後すぐ、家を売り海外に居るタイ米の弟さんの所へ移り住み、現在は幸せに暮らしているそうだ。

 タイ米は四十歳になっても両親の世話になり一切働かなかった様なので、当然だろう。
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