【完】最後のバレンタインチョコ
最後のバレンタインチョコ
今年のバレンタインも
あいつから小包が届いた。

小さなダンボールの中に丁寧に包装された小さな箱。



「またかよ」


そんなこと言いながら、俺は毎年この日を楽しみにしてる。

だけど今年はいつもと違ってた。

小包の中には、パステルカラーの薄い黄色の封筒が入っていた。

丁寧にのり付けされていて、いかにも沙耶(さや)っぽかった。


近くにあったハサミで封を開けて手紙を開く。



『隆二(りゅうじ)へ


今年でこの煎餅耳チョコも最後になります。

実は今度お見合いすることになったの。
美味しいお煎餅焼けるように私は地元で頑張る。

だから隆二も夢叶えて。

時々煎餅耳チョコ食べに帰って来てね。

                沙耶』


「え……何?
見合い!?」

物があまり置かれていないアパートの部屋。
寒さも混じって、俺の声は部屋に響いた。


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