恋人 × 交換!? 【完】
◆A:夢、かくもはかなく


(付き合って初のお祭りデートかぁ)



8月の夕暮れ、心で何度もかみしめながら、私は近所の神社へと向かっていた。



空も、アスファルトも、暖色の光をこれでもかと吸いこんで、すごく鮮やか。



見慣れた景色も、時間帯とイベントによって、こうも違うのかと、実感。



(ああっ。そわそわしてきた……)



新調した浴衣を着て、下駄をカラン、カランと鳴らして歩くと、否応なく気分が盛りあがってくる。



(奏も浴衣着てたりして……って、まさかね)



私――百合岡円は、彼氏――千住奏の浴衣姿を想像して、公の場だというのに悶えそうになってしまった。

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