アジアン・プリンス
(1)タブロイド紙を飾るプリンス
ニューヨークタイムズ紙

「The Asian prince who came to look for a bride(アジアンプリンス~花嫁をさがして)」


『200X年4月11日午前、ジョン・F・ケネディー国際空港にアズウォルド王国王室専用機が着陸した。

我が国を訪れたのは、今日がちょうど30歳の誕生日という、レイ・ジョセフ・ウィリアム・アズル皇太子。

アズウォルド王国は、日本とアメリカの真ん中に位置し、太平洋上に浮かぶアジア最東端の国だ。

レイ皇太子の母・ルビー王太后は、元アメリカ国防大臣ルーサー・ハミルトンの次女。半分以上アメリカの血が流れるプリンス・レイは、我々にとっても非常に親しみ深い存在である。

その彼の訪米理由が「花嫁探し?」との噂がまことしやかに流れている。

だが、プリンス自身の花嫁ではない。彼にはすでに、12年も前に隣国日本から進呈されたフィアンセが存在する。

今回求めているのは、彼の兄、現国王(シン・ジャコブ・ウィリアム・アズル)の王妃。

シン国王は、先の王妃を不幸なテロにより亡くされており……』




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