ふたつの背中を抱きしめた
prologue 『 真陽 』





『お陽様みたいに、みんなに温もりを与えてあげられる女の子になってね』




お祖母ちゃんはそう願いを込めて、私に 真陽(まひろ) と名付けた。



その尊い願いを誇りに思いながら育ってきた私は


22歳の夏、この名前の哀しさを知る事になる。





だってお祖母ちゃん、



お陽様は誰か一人のものにはなれないんだよ。




例えどんなに


狂おしいほど求められたとしても。



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