呪われ暗殺ガール
気が付けば現行犯
もうだめだこんなとこ誰かに見られたらお嫁行けない。死ぬ。
……いや、この場合は抹殺される可能性の方が遥かに高そうだけど!

そんな事を考えながら改めて自分の状態を見直す。
手足は木製の拘束具ですべて固定され、更に全身を簀巻きでぐるぐるに拘束されている。
―――つい先程まで目隠しまでされていた事を除いても酷い有り様である。

「安心して、無実と分かれば責任取って僕が娶ってやるから」
「だから事実無根無実潔白だって言ってるでしょうグレン様……!」

状況に似つかわしくないのほほんとした物言いに反発して目の前の発言者を睨む。
目を引くほどの豪華さはないものの、あっさり整った容姿に浮かぶ我が上司様の笑みの威力は絶大だ。
―――完全に冷め切った瞳に恐怖のあまり鳥肌止まらないけど負けてられっか畜生!

「事実無根、じゃないでしょ。あの時確かに君は王子に手をかけようとしてたんだから」
「……ぐう…」

目の前のクソッタレ上司様の冷静な指摘に思い切り怯む。
…そう、私はいま王子暗殺未遂の現行犯として取り押さえられ、そのままこうして拘束されているのだ。
(どーーしてこうなった!)


――と、嘆いていても仕方ないので数分前までの自分の行動を改めて振り返ってみようと思う。
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