† Lの呪縛 †
†プロローグ†
「棺は何処だ」



月明かりが射し込む薄暗く静かなベッドルームに、男の冷静な声が響いた。


男は血だらけで絨毯の上に転がっている者たちをうまく避けながら、ゆっくりと足を進めていく。


足を止め、見下ろす先には恐怖に顔を強張らせたこの屋敷の主人フォスター子爵とその妻が二人。


フォスター子爵は妻を背に庇い、片膝をつき男を見上げている。



「もう一度だけ聞こう。 棺は何処にある」



訪ねるというような柔らかな口調ではなく、命令しているかの様に威圧的な口調だった。


感情の読み取れない静かで抑揚のない声は、夫妻の恐怖を増幅させた。


フォスター子爵は異常な程額から汗を垂れ流し、ゴクリと喉を動かした。



「そんな物は此処にはない」

「ほう……この状況でしらを切ろうというのか? その度胸は誉めてやろう。 だが私には分かる。 この屋敷の何処かにあの子が眠っているという事がね」



無表情だった男の顔が、瞬時に冷たさを纏った。






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