節木さんと不思議な人々
星が瞬く真夜中
布団からもぞもぞ動きながら、私は寝返りを打った。

いや、既に眠っていなかったから、寝返りとは言えないかもしれない。

ごそごそ、ごろり。

横でも、寝返りを打つ人がいる。でも、私には無関係だった。

息を潜めて布団からのっそり抜けていく。家族に内緒で布団から抜け出す作戦は、これが最初だった。

ドキドキ、ワクワクと胸が高鳴るのを感じる。
不思議にも、後ろめたさは感じる事が出来ない。

それよりも、好奇心が勝っていたのかもしれない。私は自分の身体に抗える事は出来なかった。


リビングには静寂。豆電球の小さな灯りだけが灯っている。

いざ、外に出かけてみるとなると、いつもこなしている動作が少しだけぎこちない。

――でも、外に出たい。出掛けたい。

それが、私の意志。私の想いだった。

パジャマの上にコートを羽織り、無造作にポケットを弄る。固い長細めの物体を手にする。

ケータイだった。

画面を見ると、新着メール二件。
多分、予測はついていた。
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