幸せの掴み方
プロローグ

「圭祐と、別れて・・・圭祐は、あなたが子供を妊娠したから、仕方なしに
 あなたと結婚したのよ!!
 解っているでしょ! 
 あなたみたいな地味な女に、圭祐は似合わないのよ!!
 すぐに別れて!! 子供の養育費ぐらいは払うから!!」

女は、玄関先でそう告げると、踵を返して、柚葉の前から去って行った。

『はぁー・・・・何度目の修羅場なんだろ・・・・
 あの女に、言われなくたって、圭祐と私が不釣り合いなのは、
 自分が一番よく知っている・・・
 とにかく、今は、菜々美が昼寝をしている時で、良かった。
 菜々美には、こんな修羅場は、見せられないから・・・・』

柚葉は、そう呟きながら、

『あの匂い、あの女性だったんだ・・・・はぁー・・・・』

柚葉は、改めて盛大なため息を吐いた。


相楽 柚葉、28歳、専業主婦・・・・・3歳の子供がいる。

柚葉は、一度も染めたことがないような黒髪を、一つに縛り、黒縁のメガネを
掛け、お化粧も殆どしない・・・・・

見るからに地味女の道を歩いている。

しかし、肌は白く、身鼻立ちはしっかりしており、きちんと手を加えると
本当は、美人なのを知っている人は少ない。

ともすると夫の圭祐も、知らないのではないだろうか!?

そんな柚葉は、圭祐と居るようになってから、何度目かの宣戦布告を
受けた。

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