おかしな二人
嫌な過去と優しさに触れて


                *


「本当によかったんですか?」

ショップを出て大きな紙袋を肩にかけながら、あたしは水上さんに訊ねた。

「何がや?」
「コートです。こんな高いもの買って貰っちゃって」

あたしは、愁傷にもそんな事を言ってみる。

「前に約束したからな」
「そうですけど」
「まぁ、その分よう働いてもらうし」

そう言った水上さんの目が、キランッと光る。

ううっ。
その目、恐いんですが。

今まで以上にこき使われて、シンデレラ並にいじめ倒されるかもしれない。

ひぃぃぃっ。

このコート、今のうちに返すか?


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