ひとりの夜
ひとりの夜

テレビをつければお馴染みのクリスマスソングとロマンチックな特番ドラマで埋め尽くされていて。
無機質な携帯の呼び出し音に目をやれば、『HAPPY Christmas★』なんてメッセージが次々に表示される。


恋人と過ごす、なんていう甘ったるい理由じゃないけど毎年希望している有給休暇。
それでも街中にあふれる賑やかで楽しげな雰囲気からは逃れたくて、目覚めたお昼前からも一歩もこの部屋から出ていない。


あの人と身体を重ねるようになってから、もう三回も。
こうやって狭い1LDKに閉じこもるこの日を過ごしている。
……あぁ、今日で四回目か。


もう、だいぶ慣れた。
一緒に過ごせないことに涙していた一年目、寂しさを埋めるようにバカ騒ぎをした二年目を過ぎて。
どうやっても埋められない空虚感と頭の中を占める憎らしいあの人の余裕気な顔。
どうしようもないから、こうやって居心地のいい自分の部屋でやりすごす。
そんなクリスマスにも慣れた。

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