ナンパ男との恋~最終章~
成長できない大人

浮気未遂事件

月日が経つのは早いもので、

春樹、広樹 共に
4月からは小学生に上がる。


見事なほどに

輝樹の遺伝子を、そのまま受け継いでしまった二人は

まるで輝樹の顔を幼くしたような顔立ちへと成長し、

春樹は、相変わらず甘えんぼのまま

私にベッタリして、毎日のように広樹に泣かされている。


そんな強気な広樹は、


輝樹の性格に似ているのか

興味のない人間には

とことん、そっけなく

優しくしている所を見た事がないほどだ。


けれど、たまに・・・


私の周りに
誰もいないのを見計らって

私の元へ来ると、


「俺の・・・・
これ、幼稚園のおやつ・・やるっ!
輝ちゃんと春樹には内緒だぞ」


照れてるのか
うつむき加減で

私に差し出す
小さな手には、


広樹の
大好きなチョコレートが握られていて


「くれるの・・?」


そう言いながら
広樹の目線に
座り込むと、

小さく頷き


「かーたん、甘いの好きだから・・」


いつもの強気な広樹とは違い
本当に小さな声で

そう一言言いながら

私の手に握らせると

逃げるように走って行った。









< 1 / 233 >

この作品をシェア

pagetop