華は儚し
序章 華は儚し


「〝桐島園”の花形の宗十郎様は容姿端麗でかつ才色に優れた方なのよ」


女郎の話で、髪をとかされながら小耳にはさんだのが最初でした。



「霧里太夫どうされたのですか?」


「いいえ…なんでもありません」



私の様子に言葉を口にしたその人は声のする方を遠目で見ながら、

嗚呼と言葉を漏らし、


「陽を目に出来ない太夫はご存じないでしょう…、


けれど今夜のお座敷の相手は桐島の宗十郎様です」


え…?
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