三つの月の姫君
かえがたいもの
―かえがたいものー



「愛してます、フィリアさん。僕、この時代に飛ばされて本当によかった。あなたに会う事が、定めだったようにも思えます」


「時代に……飛ばされた?」


「あ、いえ、そのう。関係ありませんでした。それでは続きを」


「まって」


「今にいたって心の準備?」


 フィリアはもじもじとしている。


 青年は待った。


 彼女が何か言いたげにしているのを。



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