隠す人
3.秘密会議
3.秘密会議


次の日、凶器の拳銃と手がかりを求め、二刑事は部屋中を捜索した。

二宮の机を一通り調べた西刑事は、
「何もないっス」
と言いながら回転イスにふんぞり返ってくるくる回っている。
相当飽きっぽい性格のようだ。
こいつ、刑事としてやっていけるのだろうか。先輩刑事・原田は言いようのない不安に襲われた。

「おい西。現場百ぺん、だぞ」

「えぇ~、百ぺん。無理」

「もう一度調べてみろ。あいつは頭がいい。都合の悪いものを見える場所には置かんだろ。引き出しの底が二重底とかになってないか?」

と偉そうに言う原田も、隣の社長室での捜索に若干空しさを覚えていた。
社長室の本棚って、決算書とか企画書とか、「経済白書」みたいな重くてお堅い本とかが置いてあるものじゃないのか。
なんだこの本棚は。
「禁断の手品ネタばらし」
「あなたも社内の人気者!宴会芸全集全5巻」
「うつみ宮土理のカチンカチン体操」
なんだこりゃ。

「拳銃はもうこの部屋の中にはないような気が、そこはかとなくするんですけど」

「気がするだけで捜査をやめるな。しかし、なぜそう思った?」
原田刑事は、「カチンカチン体操」をペラペラめくりながら尋ねた。
お、痩せたいとこだけ痩せる、か・・・

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