午前0時のシンデレラ
4.王子様


カボチャの馬車で、舞踏会へ行こうとしたシンデレラ。


でも、シンデレラ。

何か忘れてない?


そうよ。あなたはまだ―――…



「…いや、買いすぎだろ」


柳の呆れた声が、あたしの背後からかけられる。


あたしは両手一杯にたくさんの服を抱え、後ろを振り返った。


「何言ってるの!ちゃんとおめかししなくちゃ」


「おめかしって。お前どこも行かないだろ」


「…行くかもしれないでしょ」


ムッとしてそう言い返すと、柳はため息をついて、両手にぶら下がっている大量の紙袋を見た。


「こんなに服いるのかよ」


「もう、うるさいわよ!いるって言ったらいるの!どこ行ってもいいって言ったの柳でしょ」


柳と契約を交わしたあと、逃げないと決めたあたしは街中に進出した。


どこ行くのか訊いたあたしに、柳は「どこでもお好きなところへどうぞ」とか適当に言った。


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