ジキルハイド症候群
陵南 蒼真という人物



―――――――――
――――――


ザワザワと教室が騒がしい。
一日も終わり後はホームルームを待つだけだから当たり前のことだ。


なんとか二限からは授業に出ることが出来たが、問題を当てられるは英文訳をさせられるは散々だった。


(今日は運が悪い)


本当に、運が悪かった。


はぁ、と小さくため息をつく。
それと同時に教室のドアが開かれると、教室が更に煩くなった。


「「「キャー」」」


特に大きくなったのは女子の声。
鼓膜を破りそうなその黄色い声にあたしは眉を寄せた。


(何、芸能人でも来たの?………え)


急に影が落ちてきたので、顔を上げると、蒼真がいた。


「恵里、迎えに来た」

「………」


開いた口が、塞がらない。


< 22 / 260 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop