月夜に舞う桜華
元、皇蘭総長



しんっと辺りは静まり返っている。
物音ひとつしない。
時折、生唾を飲む音が聞こえてくるくらい。


「約束守れよ?」

「君達も」


チラッと視線を向ければ、朔夜に茶髪に金髪がでーんと座っていた。
朔夜の赤髪を見る目は信頼だ。
赤髪が勝つことを信じている。


まぁ、あたしも現役引退して一年半位経つし、体が動くかはわからないが。


「………行くぞ」

「いつでもどうぞ」


スッと赤髪が構えた。


(構えばまぁまぁ良い方だ)


直ぐに動けるように重心をずらし、しっかりと敵を見据えている。


(出方を見るか)


あたしだって好き好んでこんなことしているわけじゃない。
怪我なんてしたくない。


でも、今はやらなきゃいけない。


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