幕末仮想現実(バクマツバーチャルリアリティー)
池田屋
今度は、どこ?
高杉さん、今度は何をやらかす…

「今日はほんまにええ天気どすなぁ」

ん?
今、あの人『どすなぁ』って言った?
ひょっとして、ここは京都!

ってことは、あたしの願いが天に通じて、メインキャラが高杉さんから稔麿さんに変わったんだっ!
やったーっ!

けど、何処に行けば稔麿さんに会えるんだろ。
誰に聞く事も出来ないし…。

あ〜、もう歩き疲れちゃった。
どっかに休むとこないかな。
ゲームだったら、こういう時は、宿屋よね。
宿屋、宿屋…。
あっ、あった!
ちょっと休ませてもらっちゃおっと。

池田屋さ〜ん、おじゃましま〜す。
どっか座らせてもらうだけでいいんだけど。
一階は忙しそう。
でも二階は誰も上がって行かないみたいだから、よし、この広い階段に座らせてもらおっと。

あ〜、これからどうしようかなぁ。

「ごめんっ」
あ、誰か来た。おっ、ずんずん階段上がってくる。
ちょっと避けなきゃ。
二階に部屋取ってる人かな。
でも、それにしては荷物もなさそうだし、旅人にしては妙に軽装よね、このお侍さん。
あの部屋なんだ。
「なんだ、まだ誰も来ちょらんじゃないか。来るのが早過ぎたかのう」
え?
今のって、耳馴染みの長州弁じゃない?
って事は、この人は長州人で、この人に付いてれば、稔麿さんに会える?
キャー、ラッキー!
「出直して来る」
あ、帰っちゃうっ。付いて行かなきゃっ!
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