【完】無知な彼女の周り
■想いの反面


―次の日の放課後―


結局、誰も手出さなかったなぁ…

もう少し意欲的でもいいのに…
まぁ、考えても仕方ない話か。

「あ、なんだっけ?
まぁいいや、昨日居た子
ちょっと手伝ってよ」

……メガネ…
なんだよその手に持ってる大量の資料渡すってわけじゃないよな。
どう見たって重そうだよね?それをこの普通の女の子に持たそうっていうんじゃないよね?

「全部なんていわないから、半分だけ、持って。はい」

ズシ――

うん。って言ってないし
第一、どう見たって私のほうが量多いよね?
メガネの2倍くらいあるよね?…ね?

「あの、どこまで運べばいいですか?」

「1階の資料室」

……あの、ここ5階なんですけど…ふざけてますよね?調子乗ってますよね?

とは言えないので

やたらスタスタ歩く
メガネの後ろを必死に追うが、階段なだけあってもたつく…
しかも資料で足元が見えにくい




「――うぁッ」


段を軽く踏み外して
階段から落ちそうになった


「――ッ!!」


グッ――…


落ちるってなった瞬間
階段を登る途中だった
バカ(秋一)が
体を支えてくれた

「だ、大丈夫?
怪我とかない?」

「すいません、大丈夫です」

ゆっくり手を離して
そのまま資料を私から
持ち上げた

「こんなに持つからだよ
これは俺が持っていくから、どこに持っていけばいい?」

明るい笑顔で話しかけてきて

「あ、いや
私が持っていきますよ」

「また転けそうになったらどうすんの?」

そういってやっぱり笑う

「1階の資料室です」

「分かった」

優しい笑顔で資料室に向かうバカ……

こういう一連の流れで
人は恋に落ちるのかな?

だったら巻き戻して
私の立ち位置を主人公と交換したい……

くそう…惜しい事をした…



< 17 / 74 >

この作品をシェア

pagetop