彼は、理想の tall man~first season~
chapter.01*

まだ、来ないのかな――早くして欲しいんだけどなぁ。

持っている手荷物が、重たさを増していた。


ケチケチしないで、タクシー使って帰れば良かったかも。

そんな後悔が襲い始める。


ショッピング帰り、駅のロータリーのバス停の反対側で、私は尚輝の迎えの車を待っていた。


――だけど、


「こんにちは」

「――っ、こん、にちは」


それは突然だった。

なんの前触れもなしに、私はどこぞの誰かさんから、挨拶をされていたんだ。


私から3メートル位離れた場所に、その人は立っていた。


私の周りに人はいなくて、視線は明らかに私に向いているから、私に挨拶をしたのは、間違いないんだと思った。


挨拶を返していたのは、無意識で、私はその人を無言のまま見返した。


見たことのない、男の人。

知り合いだったっけ?

でも、どこかで見たことあるような、ないような。


一生懸命考えた、けど、たぶん該当者はなし。


いや、でも、やっぱりどこかで?

頭をフル回転させて考えてみたけど、知らない人っぽい。
< 17 / 807 >

この作品をシェア

pagetop