給湯室の恋の罠
おまけ

 ひとりぼっちのクリスマス

今日は金曜日。

仕事のある日で、よかった。

私は本気でそう思う。


時計の針が、17時を指そうとしている今。

家庭のある人、彼氏彼女がいる人達は、みんなそわそわと仕事の終わりを告げるチャイムが鳴るのを待っている。

その時、


「あぁーっ!!終わらない!もう残業だよ。今日、デートなのに……」


と、同僚にぼやいている女の先輩が一人。

私は、その先輩の側へ行き


「私でも出来る仕事なら、代わりましょうか?」

「えっ!?ほんと?……でも、いいの?香澄ちゃん、今日予定は?」


私の提案に驚く先輩。


「あははは……、それが無いんです」


私は苦笑いしながら答える。


私だって

“クリスマスを一緒に過ごしたい”

そう思っていたのに……


“私の事を諦めない”

そう言ってくれた福本さん。

あの日以来、食事に誘われる事が多くなり、二人で過ごす時間が増えた。

そして、あの日以来、福本さんは私に対しても優しく接してくれる。

そんな福本さんに、ますます惹かれていったし、何より、一緒に居てすごく落ち着く。

それに

“このまま、ずっと一緒に居たい”

そう思えてくる。


私はもう自覚している。

“福本さんの事が好き”

って事を。


好きだと思ったら、即行動の私だけど……

福本さんにはまだ気持ちを言えずにいる。


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