寂しがりやの猫
結城
朝。

エレベーターを待っていると おはようございます、と後ろから可愛い声がした。

「あ、千里ちゃん。昨日は 遅くにメールごめんね」

私は なんとなく引け目を感じて すぐに言う。

「こちらこそ 昨日は ほんとにありがとうございました。あ、田村くんと連絡つきましたか?」

「あ、うん。大丈夫」

もう少しで 赤くなるところだった。


夜って 人は思わぬことをするものだなあ、と思う。

昼間なら絶対にあんな電話しないだろう。


「あ、田村くん」


「え」

ドキン…と胸が鳴る。

「おはよう」

「おはようございます、中河原さん、結城さん」


田村をチラッとみて おはよう、と言う。

いつものことなのに、妙に意識して緊張してしまった。

全く 私 何やってんだろう。 恥ずかしいったらない。こんなコミカルな顔にドキドキするなんて。

また 一人で笑いそうになる。


三人で込み合うエレベーターに乗り込んだ。
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