伯爵と妖精~新しい息吹~
嫉妬はほどほどに


ロンドンの春風が、アシェンバート邸にやって来た。
今日は家族そろってのショッピングだ。
「今日は外出日和だね」
まばゆい金髪を揺らしながら微笑んだ。
「えぇ、そうね」
久しぶりの外出で心が弾むリディアの隣には、カゴに入った双子が笑う。
「ティルとアテネも嬉しそうね」
レイヴンは硬直したまま動かない。
そして、落とさぬ様に慎重に動く。
「レイヴンさん!私が預かりますわ」
見てもいられなくなったのだろうか、ケリーがカゴを持った。
「やっぱり、ティルたちは屋敷にいたほうが良かったかしら…」
まだ産まれて間もないティルとアテネを連れてショッピングなのだが、
「そうだよ!だから今日は二人で行こうね」
エドガーはリディアと二人っきりがいいのだ。
「でも、ティルたちの服よ?本人がいなくてどうするの?」
リディアは双子とお買物がしたいらしい。
「奥様、私がティル若君とお嬢様のサイズは覚えておりますわ。だから今日は旦那様とお買物をなされたらどうでしょうか?」
ケリーが助け舟をだした。
「そうだよリディア、だから今日は二人で行こう」
エドガーは強引に馬車に乗せた。
「……そうしようかしら」
やっと頷いたリディアを乗せ馬車は動いた。

ベビーグッズが揃うお店に付くと、可愛いらしい服に見とれていた。
「可愛いわね…、これなんかアテネにどうかしら?」
可愛いリボンの服だった。
「あぁ、すっごく可愛いね」
「これはティルにどうかしら?」
次々と目移りしていたら、目の前にエドガー立っていた。
「ど、どうしたの…?」
眉をひそめ、体を壁に追いやられた。
「エ、エドガー?」
「ティルたちに熱心なのは嬉しいけど…、夫を蔑ろにするなんてどうだと思う?」
「エドガー、嫉妬しているの?」
リディアは眉をひそめた。
「嫉妬してるよ」
あっさり答えたエドガーにため息をついき、
「あなたって、子供にも嫉妬を焼くの?信じられないわ…」
「君に対してなら誰にも嫉妬を焼くよ」
当たり前だとは言うように言い切った。
「ティルたちが可愛くないの?」
「可愛いよ、だって僕らの子供だよ?」
「旦那様、周囲の視線を集めていますわ」
当たりにはチラチラと見ている人がいた。
「わかった、今日は買い物を楽しもう」
そっとリディアの頬にキスをした。


女性禁制のクラブでお酒を飲むエドガー。
「なぁポール、どうおもう?」
一緒に飲んでいるポールに問う。
「何かあったんですか?」
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