リアル
リアル4




生野は目が疲れたのを感じ、こめかみを指で解した。


こんなに長い間携帯電話を眺めていたのは初めてだ。


自分は電話と少々のメールしかせず、インターネットにはいまいち疎い。


そんな人間は携帯電話の画面を長い時間眺めることはまずないのだ。


だが、目が疲れただけで、そこに目新しい情報はなかった。


感じたことは、世の中の寂しさだけだ。


被害者二人が登録していたサイト「リアル」は、書き込み自由のサイトだ。


掲示板らしきところに、ブログと称した書き込みをするだけ。


誰にコメントを求めるでもないらしく、コメント欄らしきものは設けられていない。


一方的に書き込むだけのようだ。


一応、無料登録制とはなっているが、特別IDを取得する必要もない。


単に、このサイトの管理人にメールを送り、条件を満たしていれば書き込みパスを教えてもらえる。


その程度だ。


利用者、というページには千人以上の名前が書かれていたが、どれも本名ではなさそうだ。


それもそうか、と生野は考えた。


書き込みはパスが必要でも、閲覧は誰でも出来る。


そんなのころに本名を明かす人間はまずいない。


いや、ゼロではないが少ないことは確かだろう。


利用者一覧には被害者二人の名前らしきものはなかった。






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