琥珀色の誘惑 ―日本編―
(12)無垢なプライド
ミシュアル王子の怒声に、桃子は絶句している。

周囲も同じだ。

興味本位でチラチラ見ていた連中も、言葉の内容に開いた口が塞がっていない。


そして……。


「なんか判んねぇけどさ。どうもすんませんでした」


三人は形だけの謝罪を口にしながら立ち上がり、笑いを堪えた表情でこの場から立ち去ろうとした。



明日には大学中に舞の“バージン”が知れ渡っていることだろう。 

なんて素晴らしい冠号だ。
おそらく誰も、二度と舞を合コンに呼ぼうとはしないはずである。

イカレたお目付け役のいる女に近づこうなんて猛者は、『草食男子』と言われる昨今の日本男子にはいない。

ましてや、そこまでして手に入れる価値が舞にあるとは思えなかった。



タケシが他にふたりの肩を叩きながら、舞の後ろまで来た時、わざとらしくうそぶいた。


「まあ、こんなにでかけりゃ、男も勃たないか……物理的に無理ってヤツ? 一生“じゅんけつ”じゃね?」


そんな言葉が耳に入り、舞はクッと唇を噛み締めた。


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