ランデヴー
【epilogue ―幸せの行方― 】
「えぇ! 結婚!?」



うららかな日差しが差し込む昼下がり、桜の花びらがはらはらと舞い散るテラスで佐和子から突然告げられた報告に、思わず私は声を上げた。



「うん、することにしたの。プロポーズされてさ、えへへー」


そう言って芸能人の結婚発表のように左手の指輪をキラリと見せると、佐和子は幸せそうに微笑んだ。



「そっかぁ、そっかぁ! おめでとう! 何か私……ものすごく嬉しい!」


「ちょ、やめてよ! こんなとこで泣かないでよー。もーゆかりは泣き虫なんだから」


感極まって目を潤ませる私に、佐和子が慌てて言った。



でも、私は泣くほど嬉しかったのだ。



ずっと私と仲良くしてくれた。


辛いときは励ましてくれた。


人知れず心配してくれていた。



そして、何でも話せて思ったことはきちんと言ってくれる。



そんな大切な彼女が結婚するなんて、こんなに嬉しいことはない。
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