主婦だって恋をする
寂しさの分量

「八つも上なんだ、成美」


「学年は九つよ。来月で29になるから」



身体の確かめ合いが終わった俺たちは、すっかり冷めた紅茶を飲みながらぽつぽつとお互いのことを話し始めた。



「いつなの?誕生日」


「3月20日」



「……じゃ、お祝いしよう?ここで」



誰かの誕生日が待ち遠しい……
そんな感情、久しぶりだ。



「嬉しいけど、でも……」



そこで言葉を切った成美。

彼女の言いたいことに気付いた俺は、彼女の両手を取って言った。


< 56 / 212 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop