優しい手①~戦国:石田三成~【完】
私の生きる道
両親の手を離し、白い光から抜け出てよろめいた桃を支えたのは、三成と謙信の手だった。



「桃…?これは…どういう意味なのかな…、お願いだから私たちを期待させないでおくれ。帰ると決めたんでしょ?」


「…帰らない」


「…なに?桃…それは…ここに残るということなのか?俺たちの元に…?」



――桃はきっと顔を上げ、苦笑している両親に大声で…別れを告げた。


「お父さん、お母さん、ごめんなさい!私…ここに残ります!」


「…いいのよ、桃。もう修正できないほど時代は狂ってしまったわ。そうさせてしまったのはあなたじゃなくて、私たちよ。桃、元気でね!幸せになるのよ!」


「お母さん…!」


「三成殿…謙信公…どうぞ桃をよろしくお願いします。必ず幸せにしてやってください…!」


だが三成と謙信は茂に返事を返せなかった。


桃がこの時代に残ってくれるとは思っていなかったからだ。


2人とも桃にどんな別れの言葉をかけようかと必死に考えていて、心が張り裂けそうで…

だからこそ、桃が白い光から抜け出てきた時、期待に胸が膨らんだ。

だがぬか喜びはしたくなくて、震える瞳で桃を見下ろしていると、桃は…決断に光る瞳で見上げてきた。



「ここに残る。後のことはわからないけど…ここに残ってもいい…?お願い、迷惑かけないから…っ」


「…もちろんだよ、桃…。どちらかなんて選ばなくていい。ここに残っておくれ…」


「桃…!」



ぎゅう、と抱きしめてくれた謙信と三成の腕は力強く、だが両親との別れもつらく、桃は泣きじゃくりながら歓喜に瞳を潤ませる幸村や政宗たちに囲まれ、収束してゆく光と両親たちに手を振り続けた。


「お姉ちゃんたちによろしく!私…幸せになります!お父さん、お母さん、ごめんなさい!」


「桃…元気でね!桃…!」


――そして、空間が閉じた。


これでもう…戻れなくなったのだ。

どんなに後悔しようとも、戻れない。



「謙信さん…三成さん…これからも…傍に居てもいい?」



2人は顔を見合わせ、笑いながらまた桃を抱きしめた。
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