揺れる
揺れる
膝の上で、無防備な寝顔を見せる彼。
付き合ってから初めて来た、彼の家。
少し前まで、2人でソファーに座ってDVDを見ていた。
「膝枕してあげる。おいで」
自分の膝を両手でポンポンと叩くと、彼はちょっとだけ躊躇いながら身を預けてきた。
眠る彼の優しい表情。
どこか幼くて可愛い。
長いまつげが、彼の整った顔をより綺麗に見せているみたい。
そっと指先を伸ばして、長いまつげに触れる。
…可愛い。
愛しさが胸いっぱいに広がった。
「ん………」
「ごめん、起こした?」
寝返りを打った彼に、まつげに触れていた手を引っ込める。
けれどまだ、眠そうだ。
「あたし、長いまつげ好きなんだよね。
触りたくなっちゃう」
ウトウトし始める彼の目元に、再び伸ばした指先。
「まつげ好きとか言う人、初めて聞いたわ」
小さく笑いながら、あたしの膝から起き上がる。
じっと見つめる先の、彼のまつげは揺れて。
まばたきの度に、そっと揺れて。
無性に触りたくなるの。
「だーめっ」
身を乗り出して触ろうと伸ばした手を、優しい拒絶と共に掴まれる。
「えー、なんでー」
ちょっと拗ねたように言ってみせると、彼は意地悪な笑みを浮かべて囁いた。
「そんなに見られると、キスしたくなる」
「んっ………」
甘く、とろけて、ちょっと意地悪。
彼の舌が、口内を音を立てながらかき乱す。
こっそり瞳を開けると、彼のまつげがそっと揺れた。