《完》BLOODMOON~あやかしの花嫁~
一巻*プロローグ
人の血を啜って生きる妖・『紅鬼(ベニキ)』



京の街を騒がせた…『紅鬼』をようやく追い詰めた。



霞がかかった満ちた月。



「兄上」



「俺が封じて見せる!」
握り締める数珠の手にも力が篭った。



我が主・安倍晴明様は腕利きの陰陽師だと名を馳せていた。

我ら兄弟は弟子。


晴明様の信頼を得る為に、『紅鬼』を封じた。



『紅鬼』は最後の力を振り絞りに俺たちに呪詛の種を飛ばした。


己の双眼に映る白き月が紅く染まっていく。



我が身、弟諸共、鬼の姿になったーーー・・・


姿は鬼でも、擬い物。『紅鬼』のように、妖の力はない。


我々の姿に周囲は怖れた。


我らを哀れむ晴明様。


世話になった主に迷惑は掛けられるぬと我らは京の街を去った。





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