オトナの秘密基地
Prologue

やられた。 

徹底的に、しかも、情け容赦なく。

私の目の前には、がっつり傷がついたディスプレイ。

そして、白い海と黒い岩が規則正しく並んだかのような、キーボードの浅瀬があった。

この惨状に頭を抱えつつ、わずかな希望を胸に、そっと電源を入れてみる。

中には、大事な大事なデータがいっぱい入ってるんだから!


……しかしもう、私のノートパソコンは、起動すらしない。


あまりの怒りに背筋が震えた。

今までずっと耐えてきたけれど、限界。

キーボードからあふれ出す牛乳をまき散らしつつ、ノートパソコンを抱えて部屋を出た。


「もう、どうしてくれんのよっ!!」

< 1 / 294 >

この作品をシェア

pagetop