溺愛MOON
月下の再会
それから3日間、雨は降り続いた。


本格的な梅雨入りに、島の観光客もめっきり少なくなり、私は死んだように退屈な日々を過ごしていた。


相変わらず続く雨漏りとネズミの騒音に、私の家はどんどんと居心地の悪いものになっていた。

そのうち天井が腐って落ちてくるんじゃないかと思うとおちおち寝てもいられない。


だから4日目に雨が止んだ時、私はまだ陽も落ち切っていないのに仕事が終わると真っすぐ海に向かった。


……人がいる!


浜辺に人が立っているのが見える。

私は転げ落ちるように道路から飛び降りて砂浜を走った。


シーズンオフの海辺に一人きりでいるなんて、私の脳内には彼の存在しか浮かばなかった。
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