花蓮【完結】
一、薬には手を出さない
哲は思い切り手でナイフを受け止めていた。

手の平を貫通してるであろう、ナイフを思い切り引っ込抜いた後。




三人は叫ぶようにのされた女を連れて逃げて行った。





「…っ」


「哲!?」


「哲さん!?」



あたしと佐緒里と琴子が哲の周りに集まる。

哲は顔を痛みで歪めながらも、無理に笑顔を作るとあたしを見た。


「麻美ちゃん、また無茶して」


「…いや、無茶なのは…哲でしょ…」


「こんなんなんか巻いておけば平気」


そう言いながら自分の洋服を片腕で切り裂いて手の平に巻きつける。


「麻美ちゃん、やって」



あたしがきつく巻きつけると、小さく呻く哲。
痛くないわけない。

< 116 / 368 >

この作品をシェア

pagetop