金色の師弟
束の間の休息

後衛隊が帰還して半日が過ぎた頃、前衛隊が遅れて村へと帰還した。

前衛隊隊長クトラは隊長としての初任務であり、緊張と興奮、そして悪天候から焦りペースを乱してしまった。

クトラのミスで後衛隊が危機に陥ったことは事実である。

だが、彼は初の志願兵から隊長に就任した兵。

育てるには、長い目で見る必要があるとエルクもわかっていた。

本人もひどく反省しており、シェーダに帰国後しばらく謹慎という処分に決定した。

エルクはそう長い期間にするつもりはなく、最長でも一週間は越えないつもりだ。

そして、前衛隊が戻り一日が過ぎた頃、ようやくアデルがルイを背負いエルクの元へと戻ってきた。

泥に塗れ、服も破け、それでもアデルが微笑を浮かべるものだから、エルクも何も言わずに微笑んで二人を迎えた。

結局男たちは何も吐かず、隙を盗み二名とも舌を噛み自害した。

決定的な証拠は何もなかった。

しかし、ただの山賊でないことは明らかであった。

デモンドに対する疑いは、これで一層深まった。
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