ロック部
その数日後、ある日。

「うぎゃぁぁぁぁあ!」

こだまする私の叫び声。

「志音?!」

俊ちゃんと仁が来た。

「つっ!つた、っつっ」
「ごめん仁ちゃま日本人だから志音語わかんねぇ」
「手つった!」
「そんだけかい!」

ギターやってるとね。よくあるのよ…。

「お前手首の使い方下手だからじゃねぇの?無駄に力入れてるとか」

俊ちゃんがアドバイスをくれた。てゆかいつも貰いっぱなし←

「さすが俊ちゃん」
「ベースはコードねぇからなぁ、その辺ギターは大変そう」

仁があたしのギターを眺めながらつぶやいた

「ベースはベースで指つりそうだよね」
「お前の頭はつることでいっぱいなのか?ねぇ」
「仁ちゃま天才だから。つらねぇ」
「黙れ」

俊ちゃんのツッコミが飛び交うなかで保奈美があー!と大きな声を出した

「爽、告白されてるよ!ほら!」 

保奈美が指を指す方には可愛らしい女の子と爽の姿。女の子は落ち込みながら去っていった。

「あれまぁこりゃ爽振ったんだな」 「仁が好きそうな子だね」
「俺はもっとボンキュッボンがいい」
「まな板に言わないでよ殴るよ」
「こら仁も志音も止めなさい!」

聆香の制止を聞きながらなんとなくあぁ、爽ってモテるなぁと感じた春の日。

「締めくくんないでください」
「あ!モテモテ爽くんだ」

爽が部活へやってきた。

「俺あんま女子興味ないんで」
「え、まさか、ホ…」
「志音先輩刺しますよ」

ドラムのスティックを額にピタリとつけられた。危ないなぁもう

「中学から好きな奴が居るんです。どこにいっちまったかわかんねぇけど、まだそいつにしか興味ないんです」
「入学して間もないでしょ。入部して1ヶ月でしょ。五月でしょ今。お前どんだけモテるんだよ」
「元気だといいんすけどね」

仁のマシンガン質問をスルーした爽はニコリと笑ってドラムセットに向かった。

「爽…」
「志音先輩!」
「なに?」



「志音先輩、騙されやすいんすね!」


嘘かよ!

後輩の嘘には気を付けようと思った五月のある日。
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