獣は禁断の果実を蝕むのか。
ゴマかせない…モノ

気だるい体を起こして、うっすらと開いた目。


ソファ?


甘い香り?


毛布?


さっきの情事を思い出すには、少し時間がかかった。


パッと起き上がった目の中に、大きな窓から入った太陽の光に反射して。


キラキラと光って見えるのは、スーツの上からは想像できなかった、キレイでほどよい筋肉のラインの大きな背中。


上半身は裸のまま、専務は誰かと電話をしていて。


慌てて掛けられていた毛布で裸のままの全身を隠すかのように、体をすくめるみたいに小さくソファの上に丸く座り込んだ。


鼻まで覆う毛布からは、専務の甘い香りがして。


もう一度、目を閉じてしまいたくなるくらいドキドキと鼓動が高鳴る。


だけど、獣につけられたマークは、まだズキズキと痛みを発している。


私が目を覚ましたのに気付くと、電話を切りこちらを向いてデスクに腰を掛けた。

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