大地主と大魔女の娘
第一章 大地主と大魔女の娘

大地主

 バタンっ!!

 という荒々しい音で目が覚めた。

 何の音か。

 思い当たるよりも早く、身体が動いていた。

 ・。・:*:・。・:*:・。:*:・。:*:・。・


 扉を押し開いたらそのまま押しのけられたらしい、彼女が床に伏していた。

 カランと乾いた音を立てて杖が転がった。

 もう随分前から大魔女の娘が、杖無しでは歩けなくなっていたのは知っていた。

 森の中で逃げ惑った挙句、崖から滑り落ちたのだと―――。

 娘の右足は足首からふくらはぎまでに掛けて、大きく引き攣(つ)れていた。

 それがまた、投げ出された足の白さを際立たせるのだ。

 目のやり場にいささか困って目線を上げる。

「……。」

 それはそれで、どうかという状況だった。
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