4 X’mas story
3
 街外れの裏山を通り、林を抜けると、一軒の掘立小屋が見えた。

思いがけず林の中で彷徨ってしまい、すでに辺りは暗くなっていた。

小屋からは明かりが漏れている。

くたくたになって疲れ果てた膝が活力を取り戻したように急ぐのがわかる。

足の回転が、腕の振りが大きく速くなる。

ここだ、やっと辿り着いた。

木目の線が入った扉の前で、少し息を整え、背中の荷物を背負い直すと、とんとん、と拳の裏でノックした。

「誰だ?」
「何の用だ?」

野太く脅しをかけてくるような声と、一歩退いてこちらを訝しく思っているような声と、二つの返事がした。

「入ってもいいかしら」

私が強気に言うと、彼らが不意を突かれたような声色で、また、私がここへ訪れた理由をある程度察していただいたようで、

「ほぉ、女か、珍しいな。しかしまぁ残念だったな、というか安心しな。まだ出てねーよ」

なるほど、確かにこんなところへ足を運ぶ輩など、例の根も葉もない噂を馬鹿みたいに信じる者だけなのだろう。
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