愛と欲望の螺旋(仮)
狼は何匹いるの?

本当に、黒崎と共同生活をすることになりました。


泉希にはメールで知らせたら


『夢も手に入れたし、ついでに彼氏になってもらったら?』


なんて明るいメールが帰ってきた。


他人事だと思って。


大体、夢は叶ってないから。


契約期限が切れて、新しい契約先が編集者と似たような仕事ってだけでしょ?


ムッとしながら、顔合わせと打ち合わせを兼ねて。


今日はバーンブルーに出社。


この一週間、黒崎は気を使ってくれたみたいで。


マンションには帰って来なかった。


藤原さんの言うように、女に不自由はしてないから。


どこかの女の所だとは思うけど。


いちよう、全部の部屋には鍵は付けてくれたみたい。


2人のお兄さんとやらは帰って来ないみたいだけど。


それでも気が休まる時なんてない。


黒崎がいつ帰ってくるか?


黒崎の家の中にいるっていうだけで、安心なんてないでしょ。


ハアッと深いため息をついた。


「………で大丈夫かな?」

「え?」


黒崎の問いかけに、ハッと我に返った。

< 44 / 69 >

この作品をシェア

pagetop